こんにちは!
2021年1月(2020年度の高3生から)、これまでのセンター試験に代わって、大学入学共通テストが実施されます!
2019年7月現在では、共通テスト専用の参考書は、僕が調べた限りでは、まだそれほど多くなく、メジャーなものは、今回の教学社のものとZ会から出ているものがあります。
そんな中で、今回の記事は、あの「赤本」で有名な教学社から出ている「スマート対策」と銘打った対策本についてです!
共通テストの中でも変化が大きい科目である英語筆記(リーディング)について、内容のおすすめポイント、使うときの注意点、おすすめする対象者、などなどをご紹介!
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本の概要
2019年5月に発売されたシリーズで、大学入学共通テストで受けられる科目のうち、記事執筆時点では、英語筆記(リーディング)・英語リスニング・数学ⅠA・数学ⅡB・国語(現代文)・国語(古文漢文)・日本史B・世界史B・地理B・現代社会・物理・生物・化学の13点が発売されています。
今回はこのうちの、英語筆記(リーディング)についてです。
内容構成
まずは、「共通テストって何?」という人でも分かるように、英語以外の科目も含めてそもそも共通テストとはどういうものか、という情報から書かれています。
そこから共通テストで求められる英語力がどのようなものか、という所まで冒頭部分で説明をしてくれています。
そこから、共通テストのプレテスト(公式に実施された実験版のテストです)の分析を基にしたトレーニングのセクションへと続きます。
トレーニングは、センター試験の過去問・プレテスト・オリジナル問題などを用いて、共通テストで求められる英語力が効率よく身につくという順番で問題を解いていくというものです。
最後の部分に実践問題が載っています。この部分は、第2回のプレテストをそのまま使用する形になっているようです。
この部分は無料で音声が利用でき、またスマホで簡単に再生できるようにQRコードでアクセスできます。
おすすめポイント
文法や知識をないがしろにしていない
共通テストでは、確かに配点の上ではすべてが読解形式になっており、「文法問題は出ない」という点がフォーカスされることがありますが、このレベルの英文を読む上では、ある程度の単語力や文法理解は前提になります。
単語や文法の重要性を本書でもキッチリと説明しており、変に共通テストでの変化を強調して煽るような内容になっていないのは好感がもてます。
ただし、文法の参考書ではないのでご注意ください。
(この辺りは、下のほうで、対象者や注意点のところで書きます。)
文構造の説明まで含まれている(部分もある)
先ほどの内容とも関連しますが、この本は、「共通テストは長文だ!速読だ!全体がパッと読めればいい!」とか「問題形式のテクニックを効率良く身に着ける」というような類の本ではありません。
まず文がキッチリと読めなければならないという考えのもと、SVOC等の文構造が括弧書きで説明される問題も含まれています。
これについても下のほうで触れます。
(但し問題量の関係で、全ての問題でそのような説明があるわけではないです。)
今の段階から共通テスト問題の形式に慣れられる
本記事の執筆時点では、共通テスト形式の英語の問題に大量に触れられる参考書はあまり見当たらないので、それを有名な出版社が早い段階で出してくれたというのは、それだけで価値はあります(今後他社からも出てくる可能性は高いですが)。
トレーニング部分はセンター試験からの抜粋も多いですが、共通テストはセンター試験と全く変わるわけではなく、センター試験の問4や問5などの要素は重なる部分ですので、それを分析して選別してくれているという意味では、自分で選別する手間が省けます。
使用時の注意点
このように、良い点はあるのですが、注意点もあります。以下の点が当てはまる人は、別の対策が必要になります。
単語や文法が固まってない状態では効果がない
上で書いたとおり、この本は「文法は共通テストには不要だから読解をやろう」という本ではなく、「それらはある程度身についている人」が共通テストに対応するための内容になっています。
単語帳や文法の参考書などを一通り固めた後で取り組みましょう。
※単語帳については、メジャーな2冊を検証した以下の記事を参考にしてみてください
www.sankousho-wars.info
※なお、単語や文法を含めた英語学習の全体像については、以下の記事をご参照ください。今回のような長文メインの試験対策本は、以下の記事で言うステージ3~4にあたります。
長文の細かい解説(文構造など)が必要な人には厳しい
文構造の細かい説明が含まれている問題もありますが、一部の問題に限られます。
長文問題の解説多くは、その選択肢が正解になる理由などの説明がメインなので、長文自体の細かい解説が必要な場合は、英文解釈などの参考書に取り組む必要があります。
この本をすすめる対象者
1.共通テスト世代の受験学年の生徒
これが一番の対象だと思います。
高1・高2でしっかりと単語・文法・構文を身に着けた状態で、共通テストへの対策をすると言う流れになります。
本書は演習系の本なので、本の最初の部分を読んでみて、「演習よりもまだまだ単語や文法が怪しいな」と感じたら、迷わずにそれらの基礎基本を先に固めましょう。
時期としては、人によりますが、英語が得意なら春ぐらいで一通りやってしまって、2次対策に入りたいところです。
高3に入ってから真剣に学習を開始した、という場合は、春で基礎基本を固めてから、夏以降に取り組むことになると思います。
2.英語が得意で、早めに共通テストレベルを固めてしまいたい2年生
このような場合も取り組むことができるでしょう。
ただし繰り返しになりますが、ある程度の英文は読めることが前提です。
高2であれば、センター試験レベルで少なくとも60%ぐらい取れないようであれば、まだこの演習をやることは効果的ではないです。
3.センター世代の受験生で浪人を覚悟した場合
これは番外編的な感じになりますが、2019年度の高3生で浪人をかなり強く覚悟した状態、もしくはそれが確定した段階で、あまり共通テスト対策に時間を掛けられない場合です。
その状況では、センター過去問の中から自分で共通テストに似た問題を選別するような暇はないので、このような本で共通テストのポイントを一気に押さえたいところです。
(現役時にある程度センターを固めていることが前提。)
まとめ
まだまだ共通テスト対策本が少ない中で出てきた本書。
変に新形式による危機感を煽らず、しっかりと必要なことを説明していると思います。
「早くから共通テストの問題に慣れておきたい」という人にとっては、現時点では有力な選択になると思います。
上で書いた注意点に気を付けて、それぞれ必要な学習に取り組んでくださいね!
別記事で、共通テストの試行調査(プレテスト)の長文難易度をセンターと比較しているのでそちらも是非ご覧ください↓↓