「英語の参考書は大学受験参考書の中でも特に種類も豊富で、どう選ぶのか、選び方が分からない」という相談をよく受けます!
例えば、単語帳はどれがいいのか、というのが分かりやすい例です。
しかし、実は参考書を選ぶ前に、「英語の勉強のなかで、今自分は何の勉強をすべき段階なのか」ということを理解することが大事ですね。
そこでこの記事ではまず参考書を選ぶ前に英語学習の全体の流れを掴んで、今やるべきことを確認してから、各学習段階でのおススメ参考書とその記事を順番に紹介していきます!
まず英語学習全体の流れを捉えよう
どの出版社の参考書を選ぶか、どのレベルの参考書を選ぶか、という前にぜひ把握してほしい内容です!
英語学習を進めていくうえで、自分が何をやっているべき段階にいるのかを考えてみましょう!
それによって、取り組むべき参考書のカテゴリーが変わってきます!
以下の図は、英語学習全体の段階を模式的に表した図です。
実際にはこのように直線できれいに分けられるわけではなく、ある程度同時並行でやっていくのですが、学習の段階を概ね表しているという意味でご理解ください。
例えば、ステージ2の学習をしているときに、ステージ1の内容の演習をすることなどは当然あり得ますし、ステージ4になるまで各試験の対策をしないということでもありません。
なお、ここではそれぞれの段階をステージ1~4として呼び分けて説明します。
ステージ1:単熟語・文法
まずは単語と文法を固める
まず、基本となる単語熟語をある程度早い段階で覚えてしまうのが効果的です。
基礎的な単語を先に覚えることで、それ以外のカテゴリーの学習の際に、「単語のせいで学習が進まない」という現象を最小限にします。
本当はある程度までは先に単語熟語だけをやってほしいのですが、それだとさすがに飽きるので、同時に文法も学習しましょう。
共通テストや4技能入試の影響で、「文法は関係ない!」とか「文法は不要!」といった勘違いをしている人がたまにいますが、共通テストでは、文法だけを単独で問う問題が出ない、というだけであって、リーディングやリスニングを鍛えるには、その前提として文法力が必要であるのは言うまでもありません。
ここの段階での「文法」は、「文法問題を解く」ということではなく、「文法の体系的理解をする」と言うことです。
問題をどんどん解くような参考書ではなく、まずは文法項目ごとに細かく説明してあるものを選びましょう
(※下段におススメ例を載せています。)
もちろん4技能化によってそこにスピーキングとライティングが追加されても、ベースとなる文法や単語を知らなければ、書けるはずがないので、一番大切な基礎基本である「単語熟語、文法」はしっかりと固めましょう。
そのうえで、訓練によって自然に読めるようになったり、書いたり話せるようになる、というのは当然これから重要になります。
ステージ1のおススメ参考書例
単語(基礎レベル):
・システム英単語Basic<5訂版> (システム英単語シリーズ)
単語(標準レベル):
熟語:
文法(理解):
※高校生であれば学校で「総合英語」と書いている文法書を購入している人が多いので、その場合はそれで大丈夫です。
どうしても他がいいという場合のみ、上記のようなものを購入しましょう。上記のもので記載内容が難しい場合は、大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)がかなりおススメです。
文法(演習):
・Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服
これらの参考書の効果的な活用法については、以下をご覧ください。
※これらの演習系参考書は、素晴らしい参考書ですが、文法の体系的な知識をつけるためではなく、演習して定着させるためのものなので、文法の仕組みをしっかり理解してから取り組みましょう。
ステージ2:構文・英文解釈
一文一文なら正確に読めるように
文法が一通り理解できて、学習を進めるのに困らない程度の単語を覚えたら、英文解釈に進みましょう。
この「英文解釈」というものは、予備校や出版社によって呼び方が違いますが、簡単に言うと「SVOC+M」や、「句と節」を正確に把握できているかということです。
「構文」、「文の構造把握」、「文の骨格」、「読むための文法」といった呼ばれ方をする内容です。
(文法の一部として捉えられることもありますが、本サイトでは分けて記載します。)
あくまで簡単な一例ですが、「As you know,」から文が始まったときに、「接続詞+SVだから、これは副詞節で、まだ主節の主語は登場してないな。次に主語の名詞が来るはずだな。」という感覚が持てているかということです。
(このような文法用語は、必ずしも知らなくても、概念的に理解していれば良いのですが、実際には知っておいた方が説明書きの理解が捗るので、結果的に早いです。)
この「英文解釈」ができるようになることで、一文一文なら正確に読むことができるようになります。
この分野はなぜか学校で抜けがちな内容なので、特に参考書の重要性が高いと思っています。
一文の構造が正確に分かるということは、それをアウトプットする訓練をすることで、ライティングやスピーキングができるようになるということです。
つまり4技能というのも、今までの英語学習と全く別の次元にあるのではなく、今までの英語学習の中で更に訓練をしていくことによって習得していくものだと言えます。
「ネイティブは文構造なんて知らないから自然に聞きまくれば良いんだ」という説もありますし、自然に聞きまくることも最終的に必要だとは思います。
しかしネイティブは自然に英語を使えるようになるまでに、生まれてから毎日英語のみの生活で試行錯誤し続けて何年もかけて大学入試レベルの英語ができるようになります。
それと同じ環境を作れるならそれでいいと思いますが、一般的な学生には自然に聞きまくるだけでは不可能です。
ですので、日本語という言語を活用して、文法や英文解釈をしたうえで、自然に使えるための訓練を追加したほうが全体として効率がいいと考えています。
ステージ2のおススメ参考書例
・大岩のいちばんはじめ英文法【英語長文編】 (大学受験 東進ブックス 名人の授業)
・基礎英文解釈の技術100 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)
ステージ3:長文
文章全体を理解できるように
「英文解釈」で一文一文なら正確に読めるようになったら、次は文章全体の流れや読み方を鍛えていきましょう。
一文が正確に読めるということは、基本的には全部が理解できるはずなのですが、実際の文章には流れというものが存在します。
日本語でざっくり言うと、「起承転結」のようなものですが、英文では「序論、本論、結論」の3段構成が良く用いられます。
そのような文章全体の構成を把握したり、「抽象」と「具体」の文章展開を把握したりすることによって、文章全体で何を言っているかを理解するという感じです。
(今回の記事ではこの項目自体の説明をしすぎると趣旨が変わってくるので割愛します!)
あとは、単純に「英文解釈」の参考書では短文ばかりで読む練習量が足りないので、たくさんの長文に触れるという意味もあります。
それによって、英語力だけでなく、読解に必要な背景知識も増えていきます。
ステージ3のおススメ参考書例
・英語長文レベル別問題集 (3) 標準編 (東進ブックス―レベル別問題集シリーズ)
・英語長文レベル別問題集 4中級編 (レベル別問題集シリーズ)
※下の二つは単語帳なのですが、長文をたくさん読む練習としてはコンパクトで非常におススメです。
ステージ4:各試験・志望校対策
ステージ1~3を基に実際の問題への対策
ここにきてようやく、特定の試験への対策や志望校別対策が本当の効果を発揮する段階になります。
そして、本当に多いのが、特にステージ1~2の内容が不十分な状態で、志望校対策のみを行って効果が出ないパターンです(特に受験学年に多いです)。
過去問や入試レベルの実践演習を行って、思ったように読めないという場合は、そのまま演習を続けるのではなく、ステージ1~2に相当する内容の何かが足りていないと考えて、その内容を体系的に学びなおしましょう。
(ステージ3については、実質的には実践演習も兼ねていることもあるので、ステージ4とかぶる部分は出てきます。)
ステージ4のおススメ参考書例
このステージでは、志望によって必要な参考書(というかこのステージだと「問題集」ですね)がかなり異なってくるので、詳細はまた別の記事で順次ご紹介していく予定ですが、志望校が明確に決まっている場合は、過去問を活用して学習しましょう。
大学入試は、大学ごとに問題の出し方にかなり特徴があるので、過去問になれることが最終的には重要です。
・「赤本」シリーズ(自分の志望校のもの)
・「〇大の英語 〇〇カ年」シリーズ(京大の英語20カ年など)
各ステージと4技能との関連性
上のほうでも書いた通り、最近よく言われている「英語4技能」はこれらの学習段階と別のものとして存在する学習内容ではなく、これらの段階の中で、インプットやアウトプットの一形式として練習していくものだと考えています。
例えば、単語を覚えるステージ1では、今までは綴りと意味だけ覚えていたのが、今後は音声も活用して例文の中で用法も併せて覚える、となりますが、やはり「ステージ1で単語を覚える」ことには変わりません。
例えば「英文解釈」では、これまでは文の意味が理解できて訳すというのがメインでしたが、4技能時代には、その理解した内容をリスニングでも自然に理解できるように訓練する必要が出てきますので、音読などの重要性は高まってきます。
しかし、それでも「ステージ2で英文解釈をして一文を理解できるようにする」ということの重要性には変わりありません。
各ステージで、その練習として「音声の活用によるリスニング力向上」「音読によるスピーキング力とリスニング力向上」「例文暗記によるライティング力向上」などの練習量などはしっかりと行いましょう。
まとめ
この記事は、英語の参考書を選ぶ前に!ということで、「何を買うか」とか、「どうやって使うか」という前に英語学習全体での自分の段階をしっかり把握してからそれぞれの参考書を検討してもらえたらと思って整理しました。
というのも、本当にそれを意識せずに周りに流されて、「まだそれをやる段階じゃないのに!」というときに間違ったカテゴリーの参考書に取り組んでしまっている人が多いのです。
今は本当に良い本がたくさん出ているので、素晴らしい時代ですが、反面、選ぶのが大変になっているとも言えます。
そんな人が、これを参考にして少しでも効率よく学習をしてもらえたらと思います!